XPTデジタル トランキングシステム

1. XPTシステム概要

XPT (Extended Pseudo Trunk)とは、Hytera社独自のPseudo Trunk(シュード・トランク)テクノロジーを素に開発された、最新のトランキングシステムです。

多くの保有局数を持つエンタープライズ企業様向けに、簡単に、リーズナブルな投資コストで最大限の通信効率を提供するシステムです。

 

XPT デジタル トランキングシステムは、以下の3つが大きな特長です。

  1. 有コントロールチャンネルが不要⇒全ての通信スロットを通話回線として利用可
  2. 大きな通信キャパシティ⇒既存の独立した複数リピータ運用を、シームレスなマルチチャンネルシステムに進化させます。
  3. 既存設備からの更新も簡単⇒究極のALL in ONE設計

これにより、無線機のチャンネル切り替えなど面倒な操作の必要がなく、自動的に保有する全通信スロットをフル活用することを可能としました。

また、シンプルな設計・機器構成により、保守メンテナンスなどのランニングコスト低減をも実現させました

XPT デジタル トランキングシステム製品群

本システムの開発リリースにより、一つの同システムを共同利用することによって、明瞭な音声通信と労務管理に有益なデータ通信を、何千ものユーザーが享受でき得ることとなりました。

XPTシステムと、従来のダイレクト通信/トランキングシステムとの違い

 上記の通り、DMRトランキングシステムは占有コントロールチャンネルによる基地局とのデータのやり取りに基づく接続を基本とするのに対し、XPTシステムは予め設定された端末側のトークグループ情報により、タイムスロットの振り分けを行う所に大きな違いがあります。

 どちらのシステムを選択するかは、お客様のニーズとご予算によって決定する事となります。

2. XPTシステム構成

 XPTシステムの主な機器として、リピータ装置(RD988XS)、コンバイナー、分割器、デュープレクサーとIPスイッチから構成されます。同一システム内のリピータ装置は、IP LANネットワークにより接続され、任意のリピータが主装置となり、他は従属装置として作動します。

 通信待機中の各リピータは、常に所属する移動局の発呼をモニターしており、通信中に他の発呼を検知した場合には、ビーコン信号によって検出された他の待機リピータに接続します。

従来のリピータシステム

XPTデジタル トランキングシステム

 つまり、従来の独立したリピータ運用では登録されたリピータが話中の場合、無線機のチャンネル切り替えなどで他のリピータに発呼を試みなければなりませんでした。

XPTシステムでは、複数のリピータをシームレスにスイッチングすることで、空き通話スロットを無駄なく利用、ストレスのない通信環境を提供します。

 

XPTシステム主な機器構成図

XPTシステムネットワーク構成図

2. XPTシステム設定環境

 XPTシステムは、既存のデジタル無線機器のファームウェアを書き換えるだけで、運用が可能となります。他に特別な機器の購入は不要なため、トランキングシステムへのアップグレードを大きな追加投資無しに実現でき得ることがメリットです。

 

note: 本機能(スマートディスパッチIPネットワーク接続、並びにAPI・IPPBXゲートウェイ機能開発を含む)は、XPT R2.0.にて有効です。

 

3. XPTシステム対応機種

 以下のDMR通信機器は、追加ライセンス無しでXPTシステムに対応アップグレードできます。但し、機器のファームウェアがR7.0以上の場合に限ります。

*PD668 VHF(136-174MHz) UHF(400-527MHz)

*PD788 VHF(136-174MHz) UHF(350-400MHz,400-470MHz, 450-520MHz,)

*PD798Ex VHF(136-174MHz) UHF(400-470MHz)

*MD658 VHF(136-174MHz) UHF(400-470MHz,450-520MHz)

*MD788  VHF(136-174MHz) UHF(350-400MHz,400-470MHz, 450-520MHz,)

4. その他XPTシステム主な仕様

*XPTシステムは、1システムあたり最大8チャンネル(16スロット)まで拡張可能です。

*最大14までのデータ通信専用チャンネル(スロット)の設定が可能です。

*無線機IDは1システムあたり最大65535台登録設定可能で、グループIDは249まで、緊急通報グループIDが254、一斉通信IDは255です。

*全スロット話中時は、スロットが空くまで待機状態となり、任意のスロットが空き次第通話可能となります。

*フェイルソフトモード:XPTシステム内に何らかの不具合が生じた場合、各送受信装置はリピータとして継続稼働、最低限の通話可能状態を維持します。

*ハンド・シェィク機能:無線機が呼び出しを行った際、待機中リピータとデータの確認を行い、相互認証がされたのちに通信が許可されます。これは、同時発呼があった際の相互干渉などを未然に防ぎ、安定した通信を確保するための機能です。

 

 以上、Hytera社独自開発のXPTデジタルトランキングシステムは、その他豊富な先進機能を搭載しております。詳細につきましては、弊社まで何なりとお問い合わせくださいませ。